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愛をする人・愛をされる人=17(チャニョル・シウミン)

2018.10.01 09:00|愛をする人・愛をされる人

真冬だというのにチャニョルは冷水のシャワーを頭から浴びていた。
つい今しがたまで眠るというよりも意識を失くしたベッキョンの手首に残る鬱血痕を「ごめん」と言いながら撫でていたが、そんなことをしている自分に耐えられなくなってバスルームへ逃げてきたのだ。
そのバスルームでサーッという音と共に排水溝に流れ込んでいく水を歪む視界の中に眺めながら、耳の奥にこびりつくベッキョンの「やめて」と繰り返す声に頭を振った。
冷静になれば自分がしてしまったことに血の気が引く。どんな顔をベッキョンに向ければいいのかわからない。許しを乞うべきなのか、許されるのか、何もかも考えてもわからず、チャニョルはただただ冷水を頭から浴びるしか出来なかった。しかしいつまでもそうしていられる訳もなく、今の季節を考えチャニョルはシャワーを冷水から温水に変えた。
そして漸く長いシャワータイムを終え、頭からバスタオルを被りバスルームから戻ったチャニョルを待ち受けていたのは、蛻の殻のベッドだった。
確かに普段よりも長いシャワータイムだったと思うが、まさかあのような状態のベッキョンが目を覚ますとはさすがに思っていなかった。
「ベッキョナ!」
だから呆然としたのは一瞬、またしてもさっと血の気が引いたのも一瞬、そして次の瞬間には玄関へ走って行き、靴の在りかを確認した。勿論、思った通りにそれはなかった。
チャニョルは部屋にとって返し、慌てて着替えた。しかしまだ体が湿っていて、上手く服が着られない。髪もまだ滴が落ちて来るほど濡れている。外は真冬の寒さだ。靴下も履かなければ、髪も乾かさなければ、そう思うけれど、気持ちは焦り、心は逸る。そうしてしまいにはとうとう、スエットからジーンズに履き替えようと上げた片足でバランスを崩し、その場に倒れてしまった。
そして見上げた天井は歪んでいた。追いかけたいのに、追いかけたくない自分もいた。失いたくないのに、合わせる顔がないと逃げ出したい気持ちもあった。
「…ベッキョナ…」
それでもやっぱり思い浮かぶのは恋人の笑顔ばかりで、チャニョルは瞼に腕を乗せ、叫び出したい気持ちを押さえ込んだ。

チャニョルからのラインのメッセージにミンソクが気づいたのは、2限目の講義が終わってからだった。
=ベッキョナと一緒にいる?=
その文面にミンソクは少しばかり首を傾げた。ベッキョンも確か午前中と午後一で講義があるはず。前日の飲みの席でそう言っていたし、家に帰るとも言っていた気がする。そうおぼろげな記憶を思い出したミンソクは、一瞬考えた。自分の知る得ることをそのままチャニョルに返していいものかと。だからとりあえずベッキョンへ連絡を取ろうとラインのトークルームを開いたが、朝送ったメッセージに、まだ既読が付いていなかった。さすがに今の状況を考えれば、ミンソクもベッキョンの身に何かがあったことを察した。
すると途端に焦燥感のようなものに襲われ、きっと出ないだろうと思いながらも、ミンソクは慌ててベッキョンへ電話を繋いだ。案の定、電源自体が切られていた。こうなってしまったら、手も足も出ない。そしてベッキョンとの繋がりが、このたった一台のスマートフォンだけが頼りなのだということを痛感する。
どうする、どうすればいい、何が出来る、何を出来る、ミンソクは学生の往来する大学のキャンパス内で立ち尽くし、何の役にも立たないスマートフォンを握り締めるしか出来なかった。



~続く~


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