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許されざる者(チェン)

2018.11.08 09:00|お誕生日記念三部作

白い天井を眺めながら、どこを好きになったんだっけ、と考えた。
そもそも男で同性で、同じグループとはいえ共にボーカルとして時にはライバルのように言われるギョンスのどこを。そしてこいつも俺のどこが良かったのだろうかと思う。
そんなことを考え始めたら自分の体の上を行き交う指先に嫌悪感を募らせた。

「…や…やめ…やめろ…やめろって!」

糊の効いたシーツの上で体を引き、そこに起き上がった。目の前には上半身裸の恋人ギョンスがいて、俯き加減の無表情から上目遣いを寄越された。
自分は真っ裸だった。逸らした視線の先に脱ぎ散らかされた自分の服が見え、手を伸ばし下着と一緒に丸まるように放られていたデニムを取り上げた。

「ごめん、今日は気分じゃない。」

ギョンスの顔を見ずにそれだけ言って、デニムと一緒くたになっていた下着を取り、それを身に着けた。自分の言葉通り、体の中心にある男たる所以のものは、何の反応もしてはいなかった。

「…わかった…」

上半身裸のギョンスもそう言うと、自分のTシャツを床から拾い上げ、それを被った。その様子を横目で見ながら、俺はやっぱりこいつのどこを好きになったんだっけ、と思った。
そしてベッドから立ち上がりドアに向かうギョンスの動きをつぶさに見つめ、その背中に問いかけた。

「やっぱりギョンスは、自分が下になる方は嫌なの?」

自分とそれほど背丈の変わらない背中が振り返ることはなかった。前を向いたままのギョンスは、ただ短く「ああ」と言っただけでドアを開け出て行った。
指先に触れていた何かをギョンスが消えたドアに向かって投げた。枕だった。ああ、スマホじゃなくてよかった、と宙を飛ぶ枕を見て思った。



浴室ではシャーという勢い良くシャワーの湯が吐き出される音が上がっている。そこに続く脱衣所兼洗面所の壁に手を付いて、はぁはぁ、あぁっあっ、と短い吐息を吐き出す相手の様を背中越しに見つめた。
スホヒョンやシウヒョンのような白さはなく、だからといってジョンインほど色黒でもない、そんな肌がTシャツの中に隠された背中だ。

「…あっ…ジョン…デ…」

僅かに顔を横に向け恨めしそうにした小さな目で、ベッキョンは俺を見た。
俺はそんなベッキョンの腰を掴み、自分の腰をそこへ打ち付けた。


スタジオの機材の故障からレコーディングが中止となりベッキョンと宿舎へ戻ると、他のメンバーは誰もいなかった。
自分たちのレコーディングも日付を超す頃まで予定が組み込まれていたので、思わぬオフのような形になった。

普段は黙れといっても話し続けるのに、、この時のベッキョンはいつになく無口だった。
もしかしたら口を開きたくなかったのかもしれない。もし一度開いてしまえば、そこから何かが溢れてしまうと思ったのかもしれない。

けれど俺は気づいていた。ベッキョンが俺に同じグループのメンバー以上の好意を持っている、ということを。
そしてそのベッキョンが「好きならどちらでもいい」と言ったのだ。

だから俺は宿舎でベッキョンの手を掴んだ。
楽譜の下でそっと指先を伸ばすようなこととは違う。
意思を持ち、がっしりとその手を掴んだのだ。
誰もが認める綺麗だと言われる指を。
そのとても綺麗な指先を包むようにして、その手を掴んだ。

あまり大きくない黒目とそれを取り囲む綺麗な白目が揺れていた。
こいつも男だよな、と心で確認した。そしてそのまま視線を下げ、膨らみのない胸や、少し盛り上がるボトムの前を見る。
確かに男だよな、と再び心で思いながら、俺はベッキョンの顔に近づいていった。


短い息を吐き出しながら、その合間に小さな声が上がる。ベッキョンの大きな黒目に、少し悪い顔をした俺が揺れながら映っていた。
その自分の顔を見ながら、女の子が大好きだったのに、やっぱり男の体は固いな、なんてことを頭のどこかで考えていた。

「…ジョンデ…ジョンデ…」

ベッキョンの腰を掴む俺の手に、俺の名を呼ぶベッキョンの縋るような手が重なった。どこかに浮遊していたような意識が名を呼ばれたことで戻り、俺はベッキョンを再び見た。

あれから、俺たちはこうして体を繋げている。しかし俺はギョンスとは別れていない。ベッキョンが自分の気持ちをはっきりと言葉にしたこともない。それをいいことに俺はベッキョンの気持ちを利用しているのだと思う。最低だとも思う。しかしこうしていることで自分の気持ちの均衡が保たれていることも事実で、俺はギョンスと笑い合ったりもしている。

けれど何度考えても、ギョンスのどこを好きになったのかは思い出せない。そして今、俺は誰が好きなんだろうとベッキョンの背中を見て考える。
もしギョンスがこうして縋るように手を重ね、俺を見上げてきたらと、どうしても想像してしまう。ベッキョンと繋がっているのに、その向こうにギョンスを見てしまう。やっぱり最低だな俺、と思ってしまう。
それでも「ごめん」なんて言葉をベッキョンに言えば、もっと最低な気がして言えやしない。

「…あっ、ジョンデ…」

壁に付く綺麗な手の指が何かを掴むように折り曲げられる。その指先のこれまた綺麗な形の爪が、どこか痛々しい。だからその指を隠すように自分の手を重ねた。

「…ベッキョナ…もうイっていい?」

カモフラージュの為に出し放してあるシャワーの音を無駄にしないように、べキョンの耳元に唇を寄せ囁いた。少しだけ振り返り、どこか扇情的な流し目で俺を見るベッキョンの頬が紅潮していた。薄い唇もまた、常より紅かった。
その唇が俺の目の前でゆっくりと動いた。

「…いいよ…」

都合の良い解釈だが、この一言にはすべてを許された気がしてしまう。ギョンスとのこともベッキョンとのことも。そしてこれからのことも何もかも。これではいけないと思いながらも、ベッキョンからこの一言が聞きたくて、俺はいつも聞いてしまうのだ。

すべてのことから許されたくて。



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