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【EXO-CBX MAGICAL CIRCUS TOUR完走記念】強がりと幸せ(セフン×ベッキョン)「フワフワとミルク」より


―――何時でもいいから電話して…

カカオにそんなメッセージが入ったのは、ツアー終了の打ち上げが始まってすぐの時だった。
それから打ち上げがお開きになるまで数時間、さらにホテルの部屋で1人になれたのは、もう日付も変わって1時間は経った頃だった。

メッセージを送って来た相手が、ここ数年はかなりの夜型になっていて、それこそ眠りに就くのは朝方だということはわかっている。いくらこの時間とはいえ、絶対に寝てはいないこともわかっている。
けれど俺はほんの少しだけ、電話を掛けることを躊躇している。でも掛けないわけにはいかない。きっとあいつは朝までだって待ってしまうから。

俺は意を決しiphoneにあいつの連絡先を浮かび上がらせた。そして発信アイコンをタップすると、何度かの呼び出し音の後、あいつに通話は繋がった。

「…わりぃ、遅くなった…」

ベッドの端に座り、床に着く足先を見つめながらそう言った。電話の向こうはやけに静かだった。きっともう自分の部屋で1人なんだろうと思う。

「ヒョン、お疲れ様。」

距離があるせいか、元々籠るような声は、さらになにかに包まれたような感じで耳に届いた。
俺はまだ足先を見ながら、小さく「おお」とだけ答えた。

「SNSで少しだけ見たよ。ミンソギヒョンとジョンデヒョン、泣いてたね。」

この話しを振られたくなくて、電話するのを躊躇していたんだ。だからできれば、この話題はここで終わってほしかった。
しかし電話の向こうのあいつは、むしろこの話題をしたかったに違いない。それがからかいや冷やかしなどではないこともわかっているのだが。

「…やっぱり今日行けばよかった。」

けれど意外な言葉が続き、俺は少し驚いた。だからずっと見るともなしに見続けていた足先から視線を外し、俯けていた顔を上げた。

「本当は今日行きたかったんだ。ツアーの最後を見届けたかったし、大阪は思い出の場所でもあるし。」

ふと自分がいるホテルの部屋を見回した。「あっ」と小さな声が漏れ、記憶が蘇る。顔にぶわっと熱を持ったのがわかった。その時のことを思い出してではなく、そのことを覚えている電話の相手と自分が、無性に恥ずかしくなった。

「な、なに言ってんだよ!そいうこっぱずかしいこと言うなよ…」

そう言いながらも、もう3年半も前なんだなと思う。あっという間だった気もするし、長かったような気もする。
しかしこの3年半の間に電話の向こうの相手は、だいぶ変わったように思う。その見た目は勿論のこと、中身もとても大人になった気がする。

「相変わらずこういう話しになると恥ずかしがるんだね。この3年半、ヒョンは全然変わらない。」

思っていたことが通じたような言葉に、また少しだけ驚いた。けれどそれだけ一緒にいて、感覚が近づいているということかもしれない。

「お前は随分変わったよな。見た目も中身も。いや、中身はそれほどでもないか?」

電話を掛けたくないと思っていたのが嘘のように軽口まで出せるようになった。それは触れてほしくない話題は回避できたと思ったからだ。
しかし。

「ヒョンは全然変わらない。ねぇヒョン?俺の前でも泣けないの?」

軽口なんて叩いた自分を叱りたかった。やはり電話なんてしなきゃよかったと後悔した。
弱い自分なんか見せたくない。自分は弱いと思いたくない。
いつでもどこでも強いビョン・ベッキョンでいたいから。

「この約4年、エリたちが想像する以上の努力をヒョンがしてきたこと、俺は知ってる。だから、こんなこと言ったらキムカイが怒るかもしれないけど、EXOの絶対的センターはキムカイでも、真のセンターはヒョンだと俺は思ってる。それはCBXでも。ヒョンはそんなことないって言うかもしれないけど、ヒョンは一度エリたちを裏切ってしまったと思ってるから、ちょっとやそっとのことでは満足してはいけない、それこそ泣いたりしちゃいけない思ってる。違う?」

だから嫌だったんだ。この話しを振られるの。
ミンソギヒョンとジョンデも、それぞれ思うところがあっての涙だと思う。それを否定したりはしないけれど、俺は泣いてはいけないと思った。
別にEXOやCBXを背負ってる、なんて大それた自負はないけれど、まだまだそこにまで到達していないと思ったから、まだ泣くわけにはいかないと我慢してしまったんだ。

「俺はまだ頼りない?ヒョンが安心して泣ける場所にはなれてない?疲れたよ、頑張ったよ、褒めてよ、って甘えられる存在ではない?」

ああ、やっぱりこのミルクの匂いがしていたマンネは、もう見た目通りの大人になってしまったんだなと思った。
そう思ったら目の奥がジンジンしてきて、もうダメだった。

「…ば~か…俺いつも十分お前に甘えてんじゃん…セフナ…」

ステージの上では我慢できたのに、もう限界だったのかもしれない。恋人の名前を呼んだら止めどなく涙が溢れてきた。そしてスマホを握り締めながら泣き続ける俺を、セフンは何も言わずに待っていてくれた。

「…ヒョン、会いたいよ…」

そうして漸く泣き止んだ俺に、優しい声でそう言った。だから俺も素直に答えられた。

「俺もお前に会いたいよ。」

けれど2人でそう言い合うと、何故か笑い合った。その後は大阪に来てからのことや、ここ最近のことを話した。ミンソギヒョンがジョンデが、日本のスタッフの誰々さんが、あの時はこうでああで、と次から次へと話しセフンは「うんうん、それで」と聞いてくれた。

「やっぱり俺、お前のこと好きだわ。」

電話をしなければよかったとはもう思わなかった。だからだろうか、笑い話をしている途中、急にそんな言葉を呟いてしまった。本当に何の前触れもなく。ただ本当にそう思ったから。
しかし電話の向こうのセフンは息を飲んだように静かになってしまった。
あれ?と思ったが、あまりにもセフンが何の反応もしてくれず、俺はセフンを呼んだ。

「セフナ~?お~いセフニ~?セフニってば~…」
「ヒョン、マジで早く帰って来て…今、ちょー抱きしめたい…」

セフンにそう言われ、自分が放った言葉がセフンの心臓を打ち抜いていたことを理解した。
そしてそれがわかると、俺もまた顔に熱が集まって来るようだった。

「も、もう切るから!明日、朝早い飛行機で帰るからもう寝る!セ、セフナももう寝ろよ!じゃ、じゃあな!」

だから早口で捲し立てるようにそう言って通話を切ろうとした瞬間。

「俺も大好きだよ、ベッキョナ…」

という脳髄に響くような声が、俺の心と鼓膜を震わせた。
慌ててもう一度スマホを耳に当てたけれど、もうピーピーピーというセフンが先に通話を終わらせたことを知らせる機械音しかしていなかった。

「ああ俺って…」

どんだけあいつに惚れてるんだろう。
そう思いながら体をベッドへと放り出した。
そして見上げた天井の模様に埋もれていた記憶が蘇る。

出会いから3年経っていた3年半前のクリスマス。
同じ長さだけ恋しさを募らせ漸く迎えた俺たち2人だけの初めての朝。

あの朝と何も変わらない自分の気持ちが、今もある。
それにどこか喜びを感じ、俺は微笑みながら目を閉じた。

そして眠りに落ちる瞬間に思う。
全然変わらない、と少し不満気にあいつは言ったけれど、変わって堪るか、と。
だから明日会えたなら、あいつの腕の中で散々甘えてやろう、とも。

そうして大きなことを成し遂げた夜、俺は幸せな気持ちに抱きしめられながら眠った。




~終わり~


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CBX←訂正、CBだけ帰っちゃいましたね~><
日産、行かなかった(行けなかった)か~(^_^.)←シウちゃんはやっぱり参戦していた模様∩(´∀`)∩ウェー ハッハッハ♪


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Re: 待ってました!

鍵コメn様、おはようございます!

コメントありがとうございます!
お返事が遅くなり、申し訳ありませんm(__)m

マジカルサーカス団、楽しんでいただけているようで嬉しいです!
シウちゃんの天然ぷりと常にギャラ問題発生の頭の中^m^これからも時々出てくると思います~(笑)
思わず「ぷっ!」って笑っちゃうようなお話にしたいと思ってますので、最後までお付き合いいただけたらと思います♪

そして「強がりと幸せ」も読んでくださってありがとうございます!
「強がりベクちゃん」私も大好物です(笑)
とはいえ、少しは泣いちゃえばいいのにと思ったりもして…

それと「フワフワとミルク」のあの場面!
私もあの場面は凄く思い入れのある場面なので、本当に!凄く!嬉しいです。
それこそ強がりのベクちゃんがセフンにたしなめられて涙を流すという、まさに今回のお話を予兆させる場面。
間違いなく鍵様!拾えてます!ありがとうございます!

セフンの前でだけは泣けるベクちゃん。
そんなベクちゃんを優しく包み守るセフン。
ここのフンベクはとても幸せだろうと想像して書いてます^m^

しかし本当に大阪!行きたかったですよね!(私も遠い目…)
泣くのを我慢したベクちゃんの代わりに泣いてあげたかった←え?そこ?

でももう今月末にはペンミですね。
鍵様は行かれるのでしょうか?行かれるのなら楽しみましょうね!

またよろしくお願いします!


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