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愛をする人・愛をされる人=18(セフン・ベッキョン)

2018.10.02 09:00|愛をする人・愛をされる人

駆け上がったホームにミンソクの姿を見つけられなかったセフンは、そのまま階段を駆け下り、今しがた入ってきたばかりの改札を通り、自宅への道を急ぎ戻った。
後になって思えば、この時にミンソクへラインのメッセージひとつでも入れておけばよかったと思う。しかしそれをしなかったのは、どこか自分の心に、なにか予感があったのかもしれない。
そして戻った自宅でベッキョンがゲストルームで休んでいると聞き、セフンはそのままゲストルームへ向かった。
自分の体を抱き込むようにして小さく丸まって眠るベッキョンの姿に、セフンはどこかホッとした。けれど肌蹴た上掛けから覗いた手首に残る薄い鬱血痕を見つけると、足元からぶわっと何かが這い上がってくるようだった。
しかもよく見れば、髪はボサボサで顔も何だかがさついている。想像の域を出はしないが、それらの状況を考え合わせれば、それが間違っていないのではと思える。
「…なんで?どうしてベッキョン先輩が?」
つい声に出てしまった気持ち。だがそうは思っても、ベッキョンも間違いなく男なのだ。非力でか弱い女性ではないのだ。きっと自分の持てる力を総動員すれば、どんな相手からだって逃げることは出来るはず。と、そこまで思ってセフンはハッとした。
「…逃げて、きたんだ。」
その相手は間違いなくチャニョルだろうということも分かっていた。それと同時にチャニョルに言い様のない怒りも感じた。しかしその感情が、自分のどこから、自分のどのような気持ちから来ているかということをセフンは考えないようにした。
そしてただ、眠るベッキョンの顔を見つめていた。

パタンという小さな音にベッキョンは目が覚めた。
凄く長く眠ったような気もするし、ほんの数十分の転寝のような気もしたが、瞼を開いた先の景色が見慣れないものだったので、ハッとしてベッドの上に飛び起きた。
「あっ、起こしちゃいましたか?」
ついさっきの小さな音は部屋の扉の開閉音だったようで、その扉の前には申し訳なさそうな表情のセフンが立っていた。その姿を見て、ベッキョンの脳内には昨日からのことが俯瞰する映像のように流れ込んでくる。
「…大丈夫、ですか?」
今の自分の有様を実際には見ていないけれど、きっとかなり酷いことになっているだろうとわかる。だからこそのセフンの表情と言葉だということもわかっていながら、ベッキョンは笑顔を作るしかなかった。
「悪かったな。迷惑掛けたよな。ちょっといろいろあってさ。まだミンソクいるかなと思って来たんだけど、間に合わなかったみたいだな。本当わりぃ。ミンソクに怒られちゃうよ。」
近づくセフンを真っ直ぐに見れず、早口で捲し立てるように言いながら、不意に下げた視線の先にある自分の手首の鬱血痕に改めてギョッとした。そしてベッキョンはそれをセフンに気づかれないように、そっともうひとつの掌で隠した。けれどそうした腕の手首にも鬱血痕はある訳で、仕方なくそうっと上掛けの中へ両手を隠し入れた。
「まさか、と思いますけど、それ…チャニョリヒョンですか?」
しかしそんなベッキョンの動作はセフンに見られていて、ベッド近くに来ていたセフンはまるで感情のない無機質な声でそう聞いてきた。
「まさか!違うよ!違う!これはちょっと、その…」
さすがにこの状況の咄嗟の上手い言い訳は浮かばなかった。それでもセフンに変な勘繰りをさせてはいけないと思い、ベッキョンは笑みを作った顔を上げた。
「…何が…あったんですか?」
困惑と怒り、戸惑いと焦燥、そんないくつもの感情が綯交ぜになったような表情をセフンはしていた。その表情を見てベッキョンもまた困惑し戸惑った。
「…何も、ないよ…」
よくよく考えてみれば、ミンソクがいないところでセフンに会うのは初めてだった。それもそうだ、セフンはミンソクの恋人なのだから。逆に考えれば、自分のいないところでチャニョルとミンソクが会っていたら、と思うと平常心ではいられない。
「本当に迷惑掛けた!ごめん!俺、帰るわ!」
落ち着いて考えてみれば、ここに自分がいること自体、軽率なことだった。してはいけないことだった。
だから両手を隠していた上掛けを捲り、少しばかり上擦った声でそう言ったベッキョンはベッドの下に足を着いた。そして立ち上がろうとしたが、それは叶わなかった。
「…これ…チャニョリヒョンのせいだったとしたら、俺…あの人のこと許せません。ベッキョン先輩は、こんなことされていいような人じゃない。ベッキョン先輩は愛される人です。誰からも愛さ…「セフン!」」
ベッキョンの足元に跪き、まるで鬱血痕を隠すようにセフンはそっと手首を掴んでいた。そしてセフンは自分の手元を見つめていた。そのセフンの言葉と口調、そして醸し出す雰囲気から、それ以上を言わせても聞いてもいけないとベッキョンは思い、セフンの名を叫んだ。



~続く~


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