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愛をする人・愛をされる人=21(チャニョル・D・O)

2018.10.05 09:00|愛をする人・愛をされる人

どこへ行ったかなど到底見当などつかなかった。
この日は大学の講義があると聞いていたが、そこへ行っていることは考えにくい。通学の為のバックパックは自分の部屋の玄関に、昨夜のまま無残に放り投げられていたからだ。
そして家に帰ってくれているならば、それはそれでいいのだが、これもまたベッキョンの性格からは可能性が低いように思えた。しかし考えられるのはそこしかなく、まったく当てのない捜索など時間の無駄だとわかっていても、安穏と部屋になどいられないと飛び出してきたチャニョルは、確実な場所を知らないベッキョンの家を目指した。
そうして、2年前の冬の夜、そこで待っててと言われたバス停に記憶を頼りに辿り着く。ベッキョンが自転車に乗ってやって来た方向へ歩き出すが、やはりそこから先はまるで見当がつかない。闇雲に歩き回ってみても、それらしい家を見つけることは出来なかった。
「…はぁ…」
なんとか元のバス停に戻り、あの時と同じようにそこにあるベンチへと座った。あの時は暗い冬の夜の空を見上げていた。星など見えなかったけれど、なんだか新しいことが始まりそうでドキドキしていた。けれど今は、膝先に肘を乗せ、そこから伸びる掌に顔を埋め、別の意味でドキドキしていた。ベッキョンを失ってしまうかもしれないという焦燥からだろう。
しかしその時ふと、有り得ないと思いながらもある場所が思い浮かんだ。
「…バイト先?…」
チャニョルは顔を覆っていた手をそこから離し、そう独り呟くとベンチから立ち上がり、かつてのバイト先がある駅前の方向へと歩き出した。


なんでこんなところにいるんだ、とギョンスは思った。
「チャニョルさん?」
その姿を出勤したバイト先の休憩室で見つけた時は人違いかと思った。休憩室の椅子に座り膝に置いた肘から伸びる両手で顔を隠していたから。
けれど椅子に座っていてもわかるくらいの長身と、その特徴的な大きめの耳で確信した。それにベッキョンとの関係を考えれば、いくら辞めた人間だとしても、ここにいてもおかしくはないとも思えた。
「ベッキョンと待ち合わせですか?」
だからなんとなく有り得そうな可能性を考えてそう聞いたのだが、隠れていた両手の中から現れたチャニョルの顔は悲壮そのままで、ギョンスはやはり有り得ない可能性だったなと思った。しかもこれは間違いなく何かがあったに違いないと、チャニョルの顔は物語っていた。
とはいえ、2人のことに首を突っ込みたいとは思わなかった。いくらもう過去のこととはいえ、やはりギョンスにとってベッキョンはどこか特別な存在で、その恋人との厄介ごとなど聞きたくもないことなのだ。
「…そういえばギョンス君ってベッキョンと同じ中学なんだよね?っていうことはベッキョンの家知ってる?」
けれどギョンスのそんな気持ちは言葉にもできはしないし、チャニョルにはわからないことだ。だから平気でそんなことも聞いてくるのだろう。さて、どうしたものかと思いながらも、純粋に尋ねられれば無視するわけにもいかない。
「知ってますけど。」
「教えて!」
やや被り気味に言葉を重ねてきたチャニョルに少し驚きながらギョンスは、やはりどうしたものかと思った。そしてベッキョンと自分はこういった星の巡り会わせなんだなと、ギョンスは自嘲的に小さく笑いながら息を吐き出した。
「喧嘩ですか?」
そう聞きながらロッカーに鞄をしまい、制服に着替える為に休憩室の隅にある更衣室に向かう。こんなことを聞いてどうするんだと思いながらも、聞かずにはいられなかった。首を突っ込みたくないと思いながらも、知りたいと思ってしまった。
「…まぁ、喧嘩っていうか…」
歯切れの悪いチャニョルの言葉に、ただの喧嘩ではないことも窺えた。
だが今さらだ。自分とベッキョンがどうにかなることなど、それこそ有り得ない。例えベッキョンとチャニョルが別れようが、自分とベッキョンに未来があるわけじゃない。それに自分にももう別の人がいる。
再びギョンスはチャニョルに見えないところで自嘲的に笑った。
「本当に諦めの悪い奴…」
そしてそう呟くと畳んだ私服を手に更衣室を出た。



~続く~


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