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愛をする人・愛をされる人=43(チャニョル×ベッキョン·セフン×シウミン)

2018.11.04 09:00|愛をする人・愛をされる人

春の日の少し肌寒くなった夕暮れの中、ミンソクは足早に家路に就く。
ベッキョンは夕方からアルバイトがあり早目の解散となったカラオケボックスからの帰りだ。
最寄駅からゆっくり目に歩けば十数分の距離。始めこそ早歩き程度だったけれど、いつの間にか走り出していた。住宅地の中にあるわりと新し目のアパートが視界に入る。するとさらにスピードは上がり、そのアパートに辿り着けば階段は二段飛ばしに上がった。
いつもリュックのポケットに入れている鍵は電車に乗っている時にパーカーのポケットに移してあった。それを取り出し鍵穴に差し込み、急いで回す。鍵を抜き出しドアノブを下に押し、そのままそれを引いた。
「ただいま!」
玄関を入ってすぐにあるダイニングキッチンのテーブルの横でセフンが出かける用意をしていた。あまりに勢い良く開いた扉と走って来たせいで上がっている息にセフンは僅かに驚いているようだった。
「おかえり。」
それでもその驚き顔をふわりとした笑顔に変えると、そう優しく答えてくれた。
ミンソクは大学生になったセフンと一緒に暮らし始めていた。あの日、様子のおかしかったセフンに感じた胸騒ぎが尾を引き、結局ミンソクは自分から一緒に暮らそうと言った。誰にも渡したくないと思った。どこにも行って欲しくないと思った。だからだ。
「セフンのバイトまでに間に合うかと思って走って来た。」
上がる息を整えながらそう言って、玄関に靴を揃えた。そしてセフンに近づき、おもむろに抱きついた。セフンはふふっと笑いながら「疲れたの?」と聞き抱きしめ返してくれた。幸せだなと思いながら、ミンソクは小さく「うん」と答え瞼を閉じた。


まだ少しばかり肌寒い春の夜、ベッキョンはアルバイトを終えると、そのままバスに乗りチャニョルのマンションへ向かった。
その車中、広げた掌に乗る鍵を見つめ、そのままその中に閉じ込めた。
つい先日、「やっぱり鍵ちょうだい」とベッキョンから言った。いつかやって来るかもしれない別れに怯え、体の良い理由を付けて受け取らなかったチャニョルの部屋の鍵。それをやはりと思ったのは、あまり大ぴらに言うことはできないが、少しばかり持てるようになった自信のせいかもしれない。だがそうは思うも手の中のそれは、実際の重量よりもさらに重みを増しているとベッキョンは思う。けれどその重みを忘れてはいけないとも思いながら、ベッキョンはぎゅっと掌に力を込めた。
「こういう時ってインターフォン押すべき?」
明日は講義がなく、泊まりに来たいとベッキョンから言った。勿論チャニョルは満面の笑みで「待ってるね」と言ったが、普段このくらいの時間にチャニョルが部屋に帰っていることは五分五分だ。だから辿り着いたチャニョルの部屋の前でベッキョンは少しばかり悩み独りごちる。掌の中にある鍵をこうして使おうとすることは初めてのことだから。
「ベッキョナ?」
そんな一人押し問答のようなことをしていたら名前を呼ばれ、そちらを向く。そこにはコンビニ帰りのチャニョルがいた。
「どうしたの?鍵忘れた?」
あまりに普通なチャニョルを前に悩んでいたなど言えなかった。だから慌てて頭を振り、両手が塞がるチャニョルの代わりに急いで鍵を開けながら言った。
「ううん、持ってる。ちょうど今来た。今開けようと思ってた。」
そして扉を開きチャニョルを先に入るよう促し、自分もそれに続く。するとチャニョルが玄関先にコンビニ袋をどさりと置いたと思ったら、ベッキョンに振り向き狭い玄関でギュッと抱きしめてきた。そんな突然のことにベッキョンは驚き、「おわ」とおかしな声が出た。
「本当は鍵使おうか、迷ってた?インターフォン押そうか、って悩んだ?」
ああ、ばれてたか、とベッキョンは思った。でもそれはチャニョルが自分を理解してくれているということでもある。やはりそんなことが嬉しいと思える。
「今日、鍵貰ってから初めて来たから。ちょっと戸惑った。」
だから素直にそう言って、チャニョルの背中に腕を回した。その手の中にはこの部屋の鍵がしっかりと握られている。
「すぐにさ、なんの戸惑いもなく開けられる日が来るよ。ベッキョナ。」
自信と自覚なんていつまで経っても持てそうにないけれど、でも少しづつ、少しづつ前には進めそうだと思いながら、ベッキョンは小さく「うん」と答えると、掌の鍵をさらにぎゅっと握りしめた。その握り締めた小さな鍵は幸せと呼べるものかもしれないと思いながら。



~終わり~


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