XIUMINセンイル記念=「正×20=100」になったら


―――…99…あと1回…

手元のノートに並ぶ「正」の字。何度も数えているから間違えていることはないというのに、また数えてしまった。
そんな自分に溜息とも自嘲とも言えるような小さな笑いを口元に浮かべ、僕は視線をノートから上げた。

―――あっ…

意外にも最後の1回は、呆気なくやって来た。




ノートに記された20個の「正」の字。その最初の「一」が書き込まれたのは3月ももう残すところ1週間弱という頃。
あまり几帳面な性格ではない僕には珍しく、日付までご丁寧に書き込まれている。

3月26日

その日、その時は、本当に何の気なしだった。何か特別な思いがあって「一」を書いた訳でも、日付を記した訳でもなかった。
ただ何か理由が必要だと言われれば、彼はそれなりに有名人だったから、とでも言っておこうか。

高校の図書室。いくつか並ぶ数人掛けの机。彼と僕の間には机ふたつ分の距離。
ふと上げた視線の先、彼の視線とぶつかった。

一重の割りに大きな目。キュッと結ばれた口元。年上にしては幼い顔。
2学年上の彼は学年一位の成績優秀者。

ぶつかった視線はすぐに彼の方から外された。
そして僕はノートに「一」と日付を書き込んだ。

その日は、それだけだった。

学校がある日は、いつも図書室に行った。
彼がいない日は、殆どなかった。

最初からそうするつもりだった訳ではなかったが、何の気なしに書き込んだ「一」は「正」の字を目指していた。
彼と視線がぶつかると、僕は一本、また一本とノートに「一」を書き込んだ。時折縦棒だったけれど。

そうしていつしか僕は目標を立てるようになっていた。

「正×12」、つまり60回、彼と視線がぶつかったら、机ひとつ分彼との距離を近づけてみよう。
61本目の「一」は、彼の目がより大きく見えて、少しどきりとした。

「正×17+3」、ゾロ目の88回で、さらにもう机ひとつ分近づいてみた。
シャープペンを持つ手が小さくて可愛いな、と口元を緩ませながら89本目の縦棒を書いた。

「正×18+4」、僕の生まれ年の94回、もう机ひとつ分…と思ってみたが、さすがに彼の目の前に座る勇気はなかった。
だからそれまでと変わらない彼との距離のまま、95本目の「一」を溜息交じりに書いた。

もうこの頃には僕は、しっかりと自覚していた。
僕は彼が好きなのだ、と。

そして僕は最終目標を「正×20」に設定した。
「正×20」、彼と100回視線が合ったその時は、勇気を出して彼の目の前に座ろうと。





「…ここ、いいですか?」





僕は勇気を出した。
「正×20+1」回目の「一」が書き込まれることはなかったけれど、その僕を見上げる真っ直ぐの視線は、僕の心にしっかりと刻み込まれた。

「…どうぞ。」と、ふわりと微笑んだ笑顔とともに…。



~終わり~



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