おいつきたくて=2(ベッキョン)


店を出る時には、帰る算段しかしていなかった。
いろいろな感情が混ざり合った心を抱えては、これ以上一緒にいることは無理だった。
しかし上手い言い訳が思いつかない。
店の前の通りは、この日も人の往来は少なく、そこをチャニョルと2人で歩いていたが、ベッキョンは走って逃げたいくらいだった。
「…ベッキョナ?なんか怒ってる?」
ついさっきまでは笑い合っていたはずなのに、急に無口になったベッキョンの様子に、チャニョルはいやでも気づいたようだ。
そういえばあの日もこの辺りで「なんで怒ってるのか」と問われた気がするなと思った。
でもあの日とは違う。何もかもが違う。あの日はベッキョンがルハンを好きだと勝手に勘違いしていたチャニョルに怒っていた。でも今は、自分の感情を持て余している自分自身に怒っている。
「…怒ってないよ。」
だからそう言葉にしたのだが、その声と言い方は、その言葉を否定していた。
「…そっか…」
しかしそれが分かっていながら、チャニョルもそれ以上は追及をして来なかった。なんだか突き放されたような気がした。
そしていろいろな感情が詰まった心が、ぐっと喉まで持ち上がった気がして、もう何も言葉は出せないと思った。
それかもし声が出たとしたら、チャニョルを傷つけてしまうような言葉しか出てこないような気がした。
だからベッキョンは、そこが開かないようにと口元にぎゅっと力を込めた。
そんなベッキョンの手首を隣り合って歩いていたチャニョルが、そっと掴んできた。それは手を繋ぐというものではなく、まるで逃げ出すのを阻止するように、しっかりと手首を握ってきたのだ。
「ベッキョナ?まだ時間平気でしょう?少し付き合ってよ。」
逃げ道を塞がれたように手を掴まれそう言われれば、それに従うしかできない。それでもやはり口を開けば思ってもみないことが出て来てしまいそうで、ベッキョンはただこくりと首を縦にすることしかできなかった。


言葉を交わすこともなく、かなり時間をかけて歩いていた。その間もずっと手は掴まれたままだった。歩いていると、だんだん心が落ち着いてきていた。だから「…逃げないから、手、離して。」と、そう自然と言葉にできた。
その言葉に、掴まれた手の先の半歩前を歩くチャニョルが少しだけ振り向く格好になり、ベッキョンを見て笑って言った。
「じゃあ、こうしよう。」
そして掴まれていた手首から一瞬チャニョルの手は離れ、すぐにベッキョンの掌を浚っていった。
「ベッキョナの手、冷たいね。」
チャニョルの大きな温かな手がベッキョンの細く長い指を持つ綺麗な手を包み込んだ。
「ずっとチャニョリヒョンが手首掴んでたからだし。」
そう少し不貞腐れたように言ってみたが、やっぱり嬉しかった。まだまだ心の中にいろいろな感情はあるけれど、その優しく繋がれた手が、ただベッキョンは嬉しかった。



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