こんな運命=14(D・O=ギョンス)

2017.06.25 09:00|こんな運命(ギョンス)

粗い息の元、狭いシングルベッドの上、2人は密着するように隣同士で横たわっていた。ジュンミョンはうつ伏せギョンスは仰向けで。
「…お前、本当に性格悪い…」
自分の腕を枕代わりにうつ伏せるジュンミョンは、そう辟易したように吐き出した。それがジュンミョンを少々甚振ったことへの言葉だということは理解していた。しかしギョンスは、何も答えなかった。そんなギョンスをちらりとジュンミョンが見遣っていることを気づいていながら。
「…さっき…着替えてきたお前見た時…女装なんかしてるより全然いいと思った…」
整い始めた息の元、さっき喉の奥に留まってしまった言葉を、ギョンスはどこを見るともなしに言った。今度はジュンミョンが何も答えなかった。
「…なんでお前、女装なんか?」
かねてより大きいと自覚のある黒目だけをギョンスは動かしジュンミョンを見た。うつ伏せながらこちらを見ていたジュンミョンは、もぞもぞとその顔を自分の腕の中に隠した。
「…お前に彼女ができたって知って、俺も女の子と付き合ってみようと思ったんだ…。」
海の向こうにいた親友とはメールでの付き合いが続いていた。そこに=彼女ができた=と書いたことがあったなと思い出す。
「でも…」
続くジュンミョンの言葉は、ここで一度止まった。しかしギョンスは先を促さなかった。あれだけの優等生だったが親友が、家族も家も捨てるほどのことなのだ。そんな簡単に言葉などにはできないだろうと思う。
「…セックス…できなかったんだ…」
漸く出てきた言葉にジュンミョンも腹をくくったのか、腕の中から顔を上げた。
「2人、試してみたけど駄目だった。」
そしてそう言いながらジュンミョンも体を仰向けた。2人して天井を見上げていた。中学の時の修学旅行を思い出した。とはいえあの時は、1人ひとつの布団で、これほど距離は近くなかったし、ましてや裸でもなかったが。
「その2人ともが友達同士ではなかったけど、俺と同じハイスクールの子だったから、すぐに噂になった。ゲイじゃないかって。まぁ実際そうだからいいんだけど。で、今度はゲイの男が近づいてきた。でも俺はお前との誓いもあったし、頑なに断り続けたんだ。だけど…」
またしてもジュンミョンの言葉が止まる。一度大きく天井に向かい息を吐き出した。
「なんかいろいろ聞いてほしかったんだろうな。友だちもいないことなかったけど、そこまで話せる奴もいなくて、この心の内を誰かに知ってほしくて、でも言えなくて…ってずっといたからさ。で、ある時、そのゲイの男に親友と約束してるからダメなんだってぽろっと言っちゃたんだよ。そしたら、じゃあ、別人になってみればって言われて…」
天井を見つめ話すジュンミョンをギョンスは見た。ジュンミョンはこちらを見なかった。
「で、女装か?」
やはりジュンミョンはギョンスを見はしなかった。
「ははは、安易だろう?」
そしてそう自虐的に笑った。確かに安易ではあると思うが、ギョンスは少し心が痛かった。まさかあの誓いが、これほどまでジュンミョンを縛っていたとは思ってもみなかったからだ。異性とセックスができなかったとはいえ。
「まぁ確かに安易ではあったな。それにそいつ、ただの女装した男とヤるのが趣味だったんだよ。別に俺の心を苦しみから解放してやりたいとか、そんな崇高な思いなんて欠片もなかった。」
またしても自虐的な小さな笑いを浮かべたジュンミョンは、天井よりも遠いところを見ているようだった。
そのジュンミョンの横顔の目がギョンスの心を刺した。
「でも、それでよかった。女装した俺は俺じゃなかったから。あいつとヤってる時の俺は…ギョンスの知る俺じゃ…なかったから…」
ジュンミョンの中で何かが込み上げたようだった。もういいじゃないかとギョンスは思った。しかし一つだけ聞きたいことがあった。
「なんで今回、女装した格好で俺と会った?帰ってきて初めて会った時、この方が楽だってお前は言った。」
ギョンスはジュンミョンを見ていた。顔を横向け、ジュンミョンの横顔を真っ直ぐに見ていた。するとジュンミョンもまた、その顔をゆっくりと横向けた。そして口を開いた。
「…女装した俺は…俺じゃないから。お前との誓いを守れない俺じゃないから。お前を好きでいる俺じゃないから。でも…お前に会いたかった…一緒に…いたかったんだ…」
ははは、女々しいな…とジュンミョンは渇いた笑いとともに、そんな言葉を吐き出した。なんて馬鹿な奴なんだとギョンスは思った。でもそんなことは言えなかった。ただ向き合う形になったジュンミョンの背に手を伸ばした。ぐっとその体を抱き寄せた。少しだけジュンミョンの鼓動が早い気がした。
修学旅行の夜、並べた隣同士の布団でくだらないことを話した。しかしその時、ギョンスの知らないところでジュンミョンの鼓動はドキドキと早かったのかと思うと、なんだかやはり少し切なかった。





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Comment

拍手コメントをくださったr様へ

拍手コメントをくださったr様、おはようございます♪

コメントありがとうございました。
お返事少し遅くなりましたこと、申し訳ございません。

スホ(ジュンミョン)って凄く真面目だと思うんですよね。
だからあんなふうに誓い(約束ではなく誓いですからね><)を立てたら、きっと頑なに守ろうとするのではないかと思ったのです。
しかもそこに恋愛感情があったからなおさらでしょうね。

時折、スホさん(何故かさんづけ)って、見ているだけで切なくなる時があるんですよ。
そういったものがお話に表れていたかなと思います。

お話の中の彼らの気持ちは、私も書いていて切ない時があります。
だからこそ、幸せにしてあげたい気持ちがあります。
彼らなりの幸せを見つけられればなという気持ちで、最後まで頑張りたいと思います。
お付き合いいただけたらと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。
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