わかってない=8(チャニョル)

2017.07.10 09:00|わかってない(チャニョル)

まだまだピアノの旋律はリピートされています。その音をバックに腕の中にいるベッキョンは、俺の背中に回した手を拳にして、そこをぽかぽかと叩きながら「本当にヒョンってバカだ」と言いました。
「でもさ、あの映画…面白かった?」
わかってる。自分の曲を使ってくれるってことが、どんなに光栄なことか。それがたとえどんな映画であろうと。だって他に使われなかった曲がたくさんあったということも分かってるから。実際、仲間が送ったデモのうち、使われたのは俺の曲だけだったし。
「面白いとか面白くないとか、そういう問題じゃないじゃん。ヒョン、作る側の人になりたいって言ってたじゃん。それに近づいたってことでしょう?」
俺の胸をぐっと押し、そこから顔を上げたベッキョンが、真剣な眼差しで力強くそう言った。やっぱりなんだか涙が出そうだった。
「俺は嬉しいよ。ヒョンが自分の夢に一歩近づいたと思うと。しかもそれが俺の為に作ってくれた曲とか、最高じゃん。そんでその曲が使われてる映画があるんだったら何回だって見たいって思うよ。エンドロールにヒョンの名前みつけたら、何回だって感動するよ。」
ああもう、どうしてこんな可愛い子が俺なんかと付き合ってるんだろう。マジでさ、捨てられるとしたら俺の方だよね。こんな俺にさ、ベッキョンが遠慮することなんて、本当になに一つないって思います。
「あっ、だから?だからここ借りたの?もしかしてヒョン、本格的に音楽、仕事にできるの?」
何も言わない俺に、ベッキョンは少し嬉しそうにそう聞いた。相変わらず勘がいいなと思います。
「うん、そうなんだ。それでね、先に言っておくね。俺、バイト辞める。それとバンドももう終わり。俺さ、もし大学通ってたら今年の春ベッキョナと入れ替えで卒業だったわけ。つまり俺の同級生って今はもう社会人なんだよね。そういうこともいろいろ考えてさ。このままでいいのかなとか。そんな時に、あの曲が映画に使われるってなって、まぁ、本当はベッキョナへの曲なのに、とかって思ってたりもするけどさ、でもやっぱりその一方で自信にもなったわけで。で、ちょっとあちこち、そういうスタジオとか事務所とか面接行ったりしてみたんだ。そしたらある事務所で採用してくれるって…。って言っても最初は給料は安いし、ここの家賃もあるし、相変わらず金ないーって言うと思うけど、でもここを借りたのは、まずは自分の為だから。」
多分、ベッキョンは精神的には俺よりもしっかりしていて大人だと思う。今はその差も年齢で何とかカバーできている気がするけれど、このままいけば数年でその差は目に見えてくるはず。
だから俺は成長したい。そう思った。本当に強く思ったんだ。
「…やっぱりヒョン、バカだよ。なんでそういうこと先に言ってくれないんだよ。だから映画だっておざなりに観ちゃうし、この部屋のことだって変に勘ぐっちゃうし…。マジで俺の為、とか言われたら別れようかと思った。」
「え??ちょっと待って!嘘でしょう?」
思わずベッキョンの両腕をがしっと掴んでしまいました。それにはさすがにベッキョンも驚いたようで、見開いた目で俺を見てきました。しかしすぐに大きく息を吐き出すと、体から力を抜き、コテンと俺の胸にその頭を預けてきました。
「ヒョン、別れる、とは言ってないから。別れようかと思った、って言ったの。だって俺の為に無理なんてしてほしくないし。」
ベッキョンの腕を掴んでいた手をそこから離し、俺はベッキョンをもう一度抱きしめました。
本当はベッキョンの為なら少しくらいの無理したいよって言いたかったけれど、今はその言葉は飲み込みました。
その代りに俺は抱きしめる手に力を込めました。ベッキョンはとても温かかったです。




ランキングに参加しています。よかったらぽちっとお願いいたします。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村



拍手、ランキングへのぽち、いつもありがとうございます。
関連記事

Comment

非公開コメント

| 2017.09 |
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

みむ子

Author:みむ子
K-POPグループEXOのBL妄想小説置いてます。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

デフォルトカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

ページトップへ