わかってない=11(チャニョル)

2017.07.13 09:00|わかってない(チャニョル)

冬の始まりとともに付き合い始め、寒さが深まった頃、初めてベッキョンとキス以上のことをした。
その日、俺は少々驚きました。それはキスが深くなり感情も昂ぶり、俺の手がベッキョンの体をなぞり始めた時でした。ベッキョンが徐にその時着ていたシャツを脱ぎ始めたのです。おおこれはなんと積極的、と思ったのですが、若干そのニュアンスが違うことにすぐに気がつきました。ベッキョンは恥ずかしげもなくズボンにも手をかけました。いや、これからそういうことをするんだから、とも思ったのですが、なんといえばいいのかわかりませんが、本当に「違って」いたのです。
だから俺は、そのベッキョンの手を止めました。そしてベッキョンに、「ベッキョナ、恥ずかしくないの?」と聞きました。この問いかけが合っていたのかもよく分からないのですが、咄嗟にその言葉が出たのです。するとベッキョンはきょとんとした顔で、「するんじゃないの?」と逆に聞いてきました。確かにこれからそういうふうになるかなとは思っていましたが、やはり何かが違うと思いました。たぶん、その気持ちが顔に出ていたのだろうと思います。ベッキョンは俺から顔を逸らし、ぽつりと呟きました。
「…前の彼氏…の時、自分から脱ぐのが当たり前だったから…」
その言葉に俺は衝撃を受けました。もしかしたら「俺男だし」が口癖のようなベッキョンですから、女の子扱いが嫌で自ら進んでそうしていたのかもそれませんが、それにしてもそれを当たり前にしていた前の彼氏はなんなんだと思いました。
しかもそれからもう少し後になって、「慣らす、ということもあまりしてもらったことがない」ということを聞いた時、見たことも会ったこともないベッキョンの前の彼氏を正直殴りたいと思いました。
いくらベッキョンが「俺男だし」と強く主張をする子だと言っても、セックスの場面では「受け入れる」側になるのです。そちら側になることをベッキョンが望んだのか、そうでないのかはわかりませんが、やはり同じ男としてそれがどれだけのことかということは、想像するまでもないことです。
そうは言っても、俺もベッキョンと付き合い始めた頃、男同士のセックスというものはイメージ的なものしか知りませんでした。つまりどこの穴に挿入するのか、ということくらいです。そしてそれこそイメージ的にベッキョンの方が「受け入れる側」になるのだろう、ということも簡単に思ってしまいました。でももしベッキョンが望めば、俺は「受け入れる側」になってもいいと思いました。しかしどちらにせよ、俺には知識がありませんでした。だから俺はインターネットで情報を仕入れました。そこにあるものが全て正解ではない、ということも念頭に置いて。
そしてそのやり方は勿論のことですが、いろいろなタイプのカップルがいる、ということもそこで知りました。特に男同士の場合、挿入をしないカップルもいる、と。やはり元々が受け入れるように作られた体ではないわけですから、その心身的な問題で挿入を拒む者もいる、と。そして挿入だけがセックスではない、とも。
確かに異性間であっても挿入だけがセックスではないと思います。その前後の行為全てをひっくるめてセックスというものだと俺は思います。それこそ服を脱がし合うことだってセックスの一部であるといっても過言ではないのだと思います。
それなのに。
ベッキョンから途切れ途切れに聞く過去の話しは、とても恋人同士のセックスとは思えないものでした。もしそれをベッキョンが望んでいたのなら、それも仕方がないことなのかもしれません。ベッキョンにとってはいい意味で、男の子扱いされている、と思えたことかもしれないから。
でも俺は、嫌です。いくらベッキョンがそうしてほしいと望んでも、ここは譲るつもりはありません。ただ溜まったものを吐き出すだけなら、自慰で十分です。でも、好きな人がいて、その人も自分を好きでいてくれるのなら、一緒にいて手を繋いでキスをして、体中触れ合って服を脱がせて、そしてその人と一つに繋がりたいと思うのは当然のことで、さらにそこには恥じらいとかも必要なことだったりするんです。
しかしこれまでのベッキョンは、そんなセックスからは遠いところにいたわけで、当たり前だが乳首を弄られたり、しつこいほどの前戯をされたり、ということもなかったようです。
だから俺がそこを弄った時はとてもびっくりした顔をして「俺、女じゃないし」と言いました。それに俺は「わかってるよ」と答え、言葉を続けました。「男の子と女の子って骨格や体格、生殖器に違いはあるけど、性感帯はほぼ同じなんだって。だからベッキョナが感じてもおかしくないんだよ。それこそ女の子だから絶対に感じるってわけでもないし。だから気持ちよかったら気持ちいい、って声に出していいんだよ。」と。
しかしベッキョンはそれに甘んじませんでした。乳首を摘んでも、舌で転がしても、目をきつく閉じて下唇を噛んで、快楽に溺れることを拒否しました。それこそ男である自分の最後の砦のように、陥落することを拒むのです。
俺はとても悲しくなりました。きっと男の子しか好きになれない自分を、ベッキョン自身、実はいまだ受け入れられていないのではとも思いました。セックス全体において感じ続けることは女性的であり、セクシャルマイノリティーではあるが、自分は男なんだという思いが強いのではないかと。
「ベッキョナ、脱がせて」
だから俺はベッキョンにそう言いました。少し驚いたベッキョンでしたが、おずおずと手を伸ばし、俺のシャツを脱がせてくれました。そしてベッキョンの手を取り、それを俺の胸元へと誘導しました。
「ベッキョナ、触って」
これにはベッキョンはその目を大きく見開き驚きました。そんなベッキョンの頬に手を当てて、俺は真っ直ぐにベッキョンを見て言いました。
「ねぇ、ベッキョナ?男とか女とか同性だとか考えないでさ、一緒に気持ち良くなろうよ?ベッキョナが嫌がることはしない。俺も嫌なことは嫌って言うし、してほしいことはしてって言うから。だから、ベッキョナもそうして。多分、セックスってそういうものだよ。それこそ服を脱がせ合うこともセックスの一部なんだよ。」
その言葉にベッキョンは下唇を噛み顔を俯けました。そして少しの沈黙のあと囁くように言いました。
「…俺、男なんだ…男なんだけどヒョンが好きで…セックスだってしたいって思う…一緒に気持ち良くなりたいって思う…だけど女みたいに声出すのも抵抗あって…どうすればいいのか、どうしたいのか…今は正直、よくわからない…」
僅かに涙声だった。そしてベッキョンの素直な気持ちだと思った。俺はベッキョンをぎゅっと抱きしめた。「わかったよ、ベッキョナ。」
俺は腕の中のベッキョンに、それだけ言った。ベッキョンは俺の腕の中で体を硬くしていた。結局その日は、それ以上のことはしなかった。





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