そつたくどうじ=4(チャニョル×ベッキョン)


どの瞬間、何を思ったのか、それは定かではない。それこそベッキョンの中で、明確な言葉で答えがあったわけでもないかもしれない。しかし明らかに、ある瞬間からベッキョンに変化がおとずれたのだということが、チャニョルにはわかった。
それまで互いのもの諸共握り込んでいたベッキョンの手はチャニョルによって動かされていた、といってよかった。だが、まずそこに力が入った。それとほぼ同時にもう一方のベッキョンの腕がチャニョルの首に回り、そこにも力が込められた。ベッキョンの顔近くに引き寄せられた刹那、チャニョルは心の中で「おわ」っと驚嘆の声を上げた。実際は声にはなっていなかったが。
しかも程なく呼びかけられ上げた顔に、ベッキョンは顔を近づけ、そして唇をチャニョルのそれに重ねてきた。これは今までにはなかったことだ。あの恋人になる前のバイト先での一件以来。
だからチャニョルは驚き目を見開いていただろうし、たぶん手の動きも緩慢になっていただろう。さらにいえば、あの時はまるで挑むように唇を寄せてきたものだから歯と歯がぶつかり、まるでキスなどと呼べる代物ではなかったが、けれど今はどうだ。
引き寄せた腕は首から離れ、その手の指がチャニョルの特徴的な耳を挟むようにそっと添えられている。そして自らの顔を傾け、唇と唇がぴったりとくっつくように重ねると、そこから舌を侵入させてくる。
初めの頃こそたどたどしかった舌の動きは、もうそこにはない。、ベッキョンの動き全ては、何かを悟り、何かを吹っ切ったように、しなやかだった。このままそのしなやかさに、全てを委ねたくなってしまうほどに。
しかしチャニョルは今一度ぎゅっと目元に力を入れた。そして僅かばかり自分を叱咤すると手の動きを再開させた。それにより慈しむように、それでいて力強くチャニョルの口内を侵食していたベッキョンの舌の動きがおろそかになった。それでも懸命にベッキョンも手を動かし、そして口づけを続けた。
ベッキョンに引き寄せられたことにより2人の体の距離が近い。その間で互いの手も伸びていることに、もう正直無理があった。チャニョルは名残惜しいと思ったがベッキョンの手を唇を解放した。そして自分の手の動きを速めた。もう限界は近かった。
すると仰け反るようにして喉元を天井へと向けていたベッキョンの解放された手が、チャニョルの背筋を触れるか触れないかぎりぎりのところでつーっと上へと伝っていった。そしてその手がチャニョルの髪の中に入り込み、ぎゅっとしがみつくようにしたベッキョンの体が反動からか少しだけ浮くと、チャニョルの耳元に熱い吐息とともに湿りけのある艶やかな声が響いた。
「…ヒョン…好き…」
たったふたつの短い単語が囁かれただけだった。しかしこれほどまでに破壊力のある言葉など他には知らないとチャニョルは思った。だから思わず、精を吐き出してしまいそうだった。だが心の中だけで「うわ」という驚嘆の声を上げ、なんとかそれを堪えた。
自分の下にいるベッキョンを見ると、顔を赤く火照らせ、小さく短い息を繰り返し吐き出していた。その口元にはチャニョルが愛してやまない指先を当て、薄く開いた瞼の中にある瞳はじっとチャニョルを見つめていた。
誘われている、としか思えなかった。ベッキョンは待っているのだと。チャニョルは手の動きを再開させた。とりあえず一度出しておかなければと、もうチャニョルにも余裕はなかった。




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