そつたくどうじ=5(チャニョル×ベッキョン)・完


あれほどまでに頑なだったのは何故なのだろうか、とベッキョンは思った。
チャニョルの体だけでなく心も、そして自分自身の心も、なにも考えずに、その全てを受け入れてしまえば簡単なことだったのかもしれない。あれやこれやと考えに考えすぎた結果、よくわからない見えない殻に閉じこもってしまっていたのかと思えるほどに。
それが今になれば、何がきっかけで、何があったから、と説明することは難しい。殻に閉じこもったのも、それを突き破ったのも。
だが確実にわかることは、自分ひとりでそれを破れたものではない。そこにチャニョルという存在があったからこそだということだ。
そんなことを思いながら、また別のところでは、ここに来た時には、まだ外は少し明るかったな、とカーテンの僅かな隙間から覗く外の世界が、もう完全なる夜になっていることに気づいたベッキョンは思った。
「…ベッキョナ…」
ほんの少しだけ逸れた気が、チャニョルの呼びかけによって引き戻される。半分微睡みの中を漂うような意識の中、見上げたそこにある顔に手を伸ばした。しかしその手はまたしてもそこへ到達する前に攫われ、チャニョルの唇へと持って行かれる。
「疲れた?」
そう聞きながらも、まだチャニョルの一部はベッキョンの中にある。乖離しそうな意識の中でも、それだけははっきりとわかる。
一度チャニョルの手の中で果てた。それからすぐに、チャニョルの口内の粘膜にベッキョンの少し萎んだペニスは包まれ、後ろの穴は指でほぐされ始めた。その過程でベッキョンの内壁の一点を掠められ、自分の意志とはあまり関係ないところでいかされそうになった。けれどその一歩手前で指は抜かれた。そしてチャニョル自身がベッキョンの中へと入ってきた。
ベッキョナ、見て。
ベッキョナ、触って。
ベッキョナ、感じて。
何度となく、チャニョルの甘く低い囁きがベッキョンの脳内を駆け巡った。ぐずぐずに甘やかされ、穿たれて。時に早く激しく、時にゆっくりと優しく。それはベッキョンのペニスも同様だった。
「ほら、ベッキョナ、感じて。」
これまでのチャニョルからは考えられないような命令形の言葉。ベッキョンの奥深くを探り、入り口は浅く擦りつけるようにして抽挿を繰り返す。しかしそれはベッキョンに快楽を感じろということではなかった。俺を感じてほしい、というチャニョルの思いだった。
それがはっきりとベッキョンには伝わってきていた。だから嫌ではなかったし、むしろずっと感じていたいとさえ思った。そしてこんなにもセックスが心地良いものだということを初めて知った気がした。だからこの感覚を、感触を、ずっと感じていたいと思った。そんな中でベッキョンは2度目の精を放っていた。
だからだろうか、そうは思うも、何故かとても眠かった。
「…眠い…」
ベッキョンはそう言うと、瞼を下した。するとチャニョルの体が離れていくのがわかった。好きだと言ってくれる自分の指をそっと離し、そして自分と繋がる一部からも、ずるりと抜け出ていった。その感触に思わず「あっ」と色めいた声が出てしまった。こんなにも眠いのに、まだこんな声が出るのかと、自分が恥ずかしく、そして浅ましいとも思ってしまった。
「無理させてごめんね。」
そう言ったチャニョルの手がベッキョンの頬を撫でた。もうとても疲労困憊していて体は悲鳴を上げる一歩手前なのに、ベッキョンはチャニョルが離れていったのが寂しかった。それに謝らないでほしいとも思った。いや、謝るなら自分の方だとも。
だから自分の頬にあるチャニョルの手を捕まえ、ぎゅっとそこに力を込めると、無意識の中で口を開いた。
「…無理なんてしてないよ…」
ヒョン、一緒に寝よ、とも言った気でいたが、それは言葉にはなっていなかった。もう既にベッキョンは深い眠りの世界へと落ちていた。


規則正しい寝息を立てるベッキョンの髪に、チャニョルは優しく触れた。もう一方の手はしっかりとベッキョンに握られている。
これまでセックスの後であっても、どこかよそよそしくもあったベッキョンのこのような仕草にチャニョルは、その口角と頬を上げた。
自分から服を脱ぐ積極性とは違うそれであった。それがベッキョンの中で何かがあったからなのは言うまでもない。しかしそれが何であったかは、おそらくチャニョルが知ることはないであろう。
でもそれでいいとチャニョルは思った。言葉にはしなくとも、互いの気持ちが等しくあったことは感じられたから。
ただ願わくば、自分の存在がその一助になっていてほしい、とは思った。ベッキョンに1人でそれを乗り越え壊す力があるということはわかっていながらも。
そして自分もまた、何かを乗り越えたような気がするとも思う。それがなんなのかはチャニョル自身も明確な言葉では言い表せないが。けれどチャニョルは、とても清々しい気持ちであった。ああ、本当にこいつが好きなんだな、と今さらながらにベッキョンの寝顔を見て思った。どこもかしこも、どこからどう見ても同性のビョン・ベッキョンという男が好きなんだと。
「ベッキョナ、おやすみ。」
そんなことを思いながら、チャニョルはそう小さく囁いた。そしてベッキョンの手が自然と自分から離れたら体を拭いてやろうとか、明日の朝は何を食べようかとか、そんなことを考えながらチャニョルはベッキョンを見つめていた。
チャニョルは目を閉じなかった。なんだか目を閉じてしまうのがもったいなかった。
だからチャニョルはずっとベッキョンを見つめていた。ずっと、ずっと。


~おわり~


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