雪に咲く(セフン×シウミン)=金色の雨が降る・番外編


今夜あたり初雪かも、とミンソクは地下鉄の駅の地上出口に向かう階段の上に広がる四角い墨色の空を見て思った。
もし今夜初雪が降ればセフンと恋人という関係になって、初めて一緒にその日を迎えることになる。
「あいつ意外にロマンチストだからな。」
口元まで隠すように巻いたマフラーの下で、ミンソクは少し微笑みながら、そう独り思わず呟いた。
そこへポケットにあるスマートフォンが震えた。ミンソクは右手だけ手袋を外すと、それをポケットに突っ込み、代わりにスマートフォンを取り出した。
=今日、初雪かもね=
まるで独り言が聞こえたかのようなタイミングでのメッセージに、またしてもミンソクはその顔に笑みを乗せた。
=どこかで待ち合わせする?=
階段を上りきったところで足を止め、ミンソクはそう返した。
高校生のセフンは、もう学校にいる。大学生のミンソクは講義が2限からの為、今からの登校だ。
その為、今朝は顔を合わせていない。時間が合う時は、一緒に登校するのだが。
=○○駅前のイルミネーション綺麗なんだって=
セフンが寄越してきたメッセージに記されていたのは、自分たちが利用する沿線上の駅だった。
「…イルミネーションって…やっぱりあいつロマンチスト。」
どうしたって笑みが浮かぶ。ミンソクはマフラーの中でまたしても独り言を呟き、指を動かした。
=18時で=
すぐにセフンから=了解=と返事が来て、ミンソクはポケットにスマートフォンを突っ込み、代わりに取り出した手袋をその手にはめた。
そして大学までの道を歩き出した。その足取りが、少し浮き足立っていたのは否めなかった。


この日の講義が終わり、ミンソクは約束の場所に向かう為に大学の門を出た。
冬の夕方はもうすっかり陽が落ちている。それでもキャンパスから門へと続く道にある街灯に助けられ、そこはかなり明るい。
そんな中、ミンソクは空を見上げた。もういつ白いものが落ちて来てもおかしくはないほど、墨色はその濃さを増していた。
「早く行かないと…。」
約束の時間までにはまだ間があるが、空からの贈り物には、もうそれほど猶予は残されていないように思えた。だから駅までの道のりを急ごうと、背負ったリュックの肩から伸びるベルトを握り絞めたその時だった。ひとつめの曲がり角の街灯の下に見慣れた長身の制服姿があった。ミンソクは思わず足を止めた。
「…セフン?」
とても小さな声で、その姿の主の名を呼んだ。まだ少し距離があったので、きっとミンソクの声は届いていなかったと思う。しかしその声が届いたようなタイミングで、セフンはミンソクを向いた。寒い冬の夜に向かう時間帯、いくら街灯があるとはいえ暗澹としている中でミンソクを見つけたセフンは、そこにまるで花が咲いたようにぱっと笑った。
「ミンソク!」
そしてミンソクの名を呼ぶと、白い息を弾ませながら近づいてきた。そのセフンの綻ぶ笑顔と白い息を見たミンソクは、自分の胸がギュッと何かに掴まれたようになった気がした。
「学校出たらさ、もう降りそうだったから、こっちまで来ちゃった。」
間近で見たセフンの顔は、頬も鼻も真っ赤だった。こんなに寒い中、いつから待っていたのか、どれだけ待ったのか、それを思うとミンソクの胸は、やはりギュッとした。
「せっかくのミンソクとの初雪だからさ。」
セフンの気持ちはわかっているつもりだった。自分がどれだけ思われているかも知っているつもりだった。しかしミンソクが思うよりももっと、セフンは自分を思ってくれている。それはきっと、とても深く、そして大きなもので。
そう思う反面、こんなにも思われているのに、自分はそれを返せているのだろうか。そんなことを思ったらミンソクは急に不安になった。
「…どうしたの?ミンソク?」
その不安が出ているであろうミンソクの顔を見下げたセフンもまた、僅かにそこに不安を覗かせ始めた。
そんなセフンの顔を見てミンソクはまた思う。こんな顔をさせたいんじゃない。さっきみたいな明るい、ぱっと花が咲いたような笑顔にさせたいのだ。
「ううん、なんでもない。寒かっただろう?」
だからそう言いながら、ミンソクはセフンの頬に手袋の手を添えた。するとその手にセフンの手袋をしていない手が重なった。
「こっちまで来たの嫌だったのかと思った。俺はいつでもミンソクに会いたいけど、ミンソクは違うのかなって…」
睫毛を伏せながらセフンは少し寂しそうにそう言って、自分の頬にあるミンソクの手をぎゅっと握った。ああ、やっぱり、自分はセフンの気持ちを少しもわかっていなかったと、ミンソクは心の中で自分を責めた。
「ちょっとだけ驚いたんだ。いるはずないって思ってたから。ごめんな、不安にさせて。」
セフンは首を横に小さく振った。自分の手とミンソクの手を頬に置いたまま。
「電車に乗っちゃったら雪降ってきたのわからないから、歩こう、ミンソク。」
そしてそう言うと、ミンソクの手を自分の頬から、手から、離した。しかしミンソクはその手を咄嗟に掴んで言った。
「お前の手冷たいよ。だから、はい。」
そうしてセフンの左手に自分の手袋をはめた。
「これじゃあミンソクが寒いじゃん。人一倍寒がりなんだから。」
しかしこう返され、セフンはそれを取ろうとした。だからミンソクはセフンの冷たい右手を今まで手袋で温められていた自分の左手で取り上げた。
「こうすれば2人とも温かいよ。」
そして取り上げた手に自分のそれを重ね、指を絡ませた。ミンソクが自分からそうすることはあまりない。だからセフンは驚いたように目を見開いた。けれど次の瞬間には、またぱっとその顔に花を咲かせた。その顔を見て、ミンソクも笑った。

そして2人は静かに歩き出した。するとすぐに2人の上に白い結晶が舞い降り始めた。
「やっぱりこっち来て良かった。待ち合わせしてたら間に合わなかったよ。」
そう笑って言うセフンにミンソクも笑顔を向けた。初雪が舞う中、二つの花が咲き誇っていた。



~終わり~



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Re: タイトルなし

鍵コメS様、こんばんは~♪

コメント(拍手コメントも!)ありがとうございました!
お返事が大変遅くなり、申し訳ございません<m(__)m>

このお話はまさしく「ほっこり」を目指して書いたものだったので、それを受け取ってくださったようで、とても嬉しいです(*^_^*)
セフンとシウミンのカップルがお好きということですが、これからもこのカップルが多々出てくると思うので、どうぞよろしくお願いします♪

いつでも遊びに来てください!(^^)!
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